2014-08-22
月明かりふんわり落ちてくる夜は
さっき家に返って来て、真っ暗な中冷蔵庫を開けたら冷蔵庫の明かりが優しくてちょっとうっとりした。優しい気持ちになった。まだ幼い頃、両親が離婚する前、寝る時は当然家中暗くして寝ていた。ただ、幼い自分にとって「静寂」と「暗闇」というのは脅威だった。怖くてトイレに行くのにはそれなりの勇気を必要としたし、両親が無防備に寝ている事に妙な不安もあった。「自分がなんとかしなければ」みたいな。想像力が豊かだった自分は、家にゾンビがいるんじゃないかとか、オバケが出るんじゃないかとか、暗い所にいるとそれは必ず想像し、思った。

離婚をすると、母は基本的に夜は仕事で家にいなかった。弟と2人で留守番をするのだが、お母さんがいないのをいいことに、夜中までゲームして、お互い怖いのは嫌なのでテレビも電気もつけた状態で寝ていた。自分は弟に先に寝られるとさみしくて仕方がなかったので「テレビから人の声がして、人の姿が見える」というのは本当に安心したしありがたかった。

少し自立心を持った高校生くらいになると、僕はアルバイトを始めるようになった。その頃お母さんは仕事をしなくなってずっと家にいた。他にしていたこともあるが他人に公表するような事ではない。アルバイトを始めると、朝学校に行って、アルバイトを終えてからだいたい23時頃帰ってくるようになる。そのリズムからか「暗い部屋で寝たい」と望むようになる。しかしお母さんが起きているので、暗い部屋で寝るのは望むだけだった。

今ではその環境も手に入れる事ができた。24時間、基本的に部屋の電気を付けない生活をしている。誰かが遊びに来たり、漫画読んでたり、探し物をしていたり、何か作業さえしていなければ僕の部屋は基本的に真っ暗である。夕方に太陽がどんどん落ちる瞬間なんて、最高だと思う。
暗い部屋が好きだ。ただ、その空間で誰かと居るのは難しいので、これが普通になる世の中になれと願わんばかりである。


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菊地椋介(ギター)

短身痩躯で赤い髪の優男で左頬にある大きな十字傷が特徴である。一見朗らかで少し間の抜けた人物だが、かつては長州派維新志士で、幕末最強とまで謳われた伝説の剣客「人斬り抜刀斎」その人である。修羅さながらに殺人剣を振るい数多くの佐幕派の要人を殺害してきたが、ある不幸な事件から明治維新後は一転して「不殺(ころさず)」を誓い、流浪人(るろうに)として全国を旅し、弱き人たちのために剣を振るっていた。神谷薫との出会いや、同じ激動の時代を生き抜いた宿敵たちとの戦いを通じて、贖罪の答えと新たな時代での生き方を模索していく。

生来争い事を好まない性格だが、戦国時代に端を発する古流剣術飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)の使い手で、ひとたび戦いとなれば逆刃刀という、峰と刃が逆転した刀で人智を越えた剣技を繰り出し、軍の一個大隊(当時の陸軍一個大隊は約1000?2000人)をも遥かに超える戦闘能力を発揮する。